脳が燃えている:慢性疲労症候群患者の神経炎症

「脳が燃えている:慢性疲労症候群(ME/CFS)患者に広範囲にわたる神経炎症が見つかる」

 

https://www.healthrising.org/blog/2018/09/24/brain-fire-neuroinflammation-found-chronic-fatigue-syndrome-me-cfs/

 

要約

 

アラバマ大学のJarred Youngerは、ME/CFS患者の脳全体のヒートマップ(温度マップ)と化学的シグネチャ―を示すことに成功。

 

15人のME/CFS患者と15人のコントロールグループを比較結果、ME/CFS患者では、好気的代謝によって産出される乳酸が脳の広範囲にあることがわかり、島葉、海馬、視床、被殻で特に高いレベルを示した。

 

日本の2015年のCFS研究で示された領域と同じであった。日本の研究では、どの脳の領域で炎症が起きているかによって、どんな症状が出るかまでリンクさせた。視床の炎症は、認知障害、疲労と痛み、扁桃核は認知の問題、海馬は、うつ病と関連する。

 

19人という小規模研究であったが、日本では120人規模の研究が行われているが、まだ英文での発表はない。

 

Youngによると、7年前は疼痛学会でミクログリアのことは取り上げられていなかったのに、現在では、頻繁に取り上げられる。

 

ミクログリアは、人によっては、感染症や毒素、心理的ストレスなどの多くのストレッサーに反応する免疫細胞。

 

Youngerは、ミクログリアが異なる炎症仲介物質を産出することから、ME/CFSと線維筋痛症の違いは単にどのようにミクログリアが刺激されたかの小さな違いだと考える。

 

Youngerは、前部帯状回皮質を「苦しみの台座」と呼び、そこが多くの不調、疲労、痛みの症状に関連しているとした。

 

しかし、多発性硬化症やパーキンソン、アルツハイマーに見られる神経細胞の損傷のような逆戻りができないような高い乳酸値レベルではなく、その炎症が神経細胞を破壊するものではないということは、ME/CFS患者にとっては朗報だ。

 

今後、神経系をターゲットにする薬ではなく、脳の炎症を抑えるため、血液脳関門を通る抗炎症剤の開発が必要になる.

 

Youngerは、ME/CFS患者は免疫系が引き起こす代謝障害であると考える。