http://www.cortjohnson.org/blog/2015/12/29/chronic-fatigue-fibromyalgia-parkinsons/
要約:
パーキンソン病の薬L-dopaと非ステロイド性抗炎症薬が、痛みを持つ動物への実験で痛みを消し去ったという実験結果を受けて、人間への臨床試験が行われることになっている。
L-dopaだけでなく、Pramipexoleもまたラットの研究で痛みに対する同様の効果を示した。2005年に行われた線維筋痛症の研究でも35%の痛み軽減、40%の人が50%以上の痛み削減を示した。疲労は、平均30%減少したという結果が出ている。
これまで、パーキンソン病とME/CFSやFMとの関係は注目されていなかったが、両者には、筋肉の硬直、筋緊張、収縮筋肉、自律神経系の問題、歩行の問題、認知的な問題、感覚過敏や気分障害などの類似した症状がある。線維筋痛症に見られる小径線維ニューロパチーがパーキンソン病にもある感覚異常の原因と見られている。
大脳基底核の活動の減少がME/CFS,FMの疲労と関与しており、大脳基底核の血流量の低下が線維筋痛症の痛みや全体的な症状に関わりを持っていることが最近わかってきた。
大脳基底核は、筋肉の動きを司るだけでなく、自律神経系や認知、感情などを統制する器官である。
大脳基底核の神経細胞は、幸福感を生み出す麻薬やセックスや運動などの報酬によって活性化する。
パーキンソン病の場合、ドーパミンを産出する神経細胞の破壊によって、運動を抑制する部分の脳がオーバードライブになる。患者の筋肉は、筋硬直と筋緊張の状態になるが、これは、筋肉の問題ではなく、脳が単に筋肉を動かす指令が出せないことから来ている。
最近の研究でパーキンソン病では自律神経系の問題があることがわかっているが、ME/CFS,FMでは、副交感神経の異常があることがわかっており、起立不耐性も見つかっている。
1995年に、Benjamin Natelsonによって、はじめてME/CFSの歩行についての研究が行われ、ME/CFS患者の歩行に異常があることがわかった。平衡感覚や筋力低下、脳の中枢神経系の異常が原因とされた。その後の研究で、ME/CFS患者が歩行の始めの段階で異常を示すことから、歩行の異常が疲労によるものではなく、中枢神経の異常によるとされた。また、2008年の研究では、CFS患者の歩行の遅さや歩幅の小ささが指摘された。
また、その後のフォローアップテストで、健常者よりも、歩行のために使っているエネルギー量が非常に多いことがわかり、ゆっくり歩くことでエネルギーの消費を抑えていることもわかった。その原因として、運動恐怖(筋肉の活動とエネルギーの消費を恐れる)や代謝・ミトコンドリアの異常などがあげられていて、これらは多発性硬化症や脳卒中などにも見られる。
線維筋痛症患者も類似の傾向があり、歩行の際に、足首の筋肉より、エネルギー消費の多い股関節屈筋を使っている。
ゆっくりした動きは、パーキンソン病の特徴であり、それはドーパミンの減少によるものでだが、Miller氏の研究は、ME/CFS,FMにもドーパミンの減少が関与していることを示唆している。
類似した症状、大脳基底核の問題、ドーパミンの減少、自律神経系の異常が、ME/CFSやFMがパーキンソン病やその他の大脳基底核系の病気と関連している可能性を示す。
大脳基底核は、主要な器官で、いくつかの異なるサブ器官を持つ。どの部分に異常があるかによって、どの病気になるかが決まる。これらの中には、パーキンソン病、ハンチントン病、テュレット障害、ジストニア、そしてアディクション(中毒)などがある。おそらく、ME/CFS、FMなどの疲労や痛みの障害がこれらのリストに加わる日が来るだろう。