「慢性疲労症候群は実存する測定可能な病気である。」CTVより

「慢性疲労症候群は、実存する測定可能な病気である。-研究者」

以下はCTV「慢性疲労症候群は、実存する測定可能な病気である。-研究者」の要約。



9年前、リサ・シュナイダーマンさんは、旅行でマラリヤに感染した。

このことが、別の病態を引き起こすことを彼女は予想もしていなかった。
-慢性疲労症候群である。

この病気は、彼女をマラソンを走り続けた後のような疲弊に陥れる。



家族や友人たちの中には、彼女の病態に疑問を抱き、理解してくれなかった者もいるとCTVニュースのインタビューに答える。

「目に見えない病気を理解するのは、本当に難しいと思います。

障害と言えば、どうしても車椅子や杖等を連想してしまうからです。」




ところが、最近の研究で、CFSが患者が頭の中で想像した病気ではなく、実在する病気であることを示す明白な証拠が見つかった。

300人のCFS患者の血液を調べたところ、CFS発病3年以内の患者のサイトカインが上昇していることがわかった。

感染症などをきっかけに、患者の免疫系が過剰に働く(オーバードライブする)ことで患者を疲弊させている。

初期段階での血液検査によって、CFSの早期診断が可能になることが期待される。



この研究は、突然何かに感染した後、そのまま改善しない状態が続くという意味で、

まるで「ひき逃げ事故」のようだという喩えを裏付ける結果を示した。

CFS患者の場合、感染症によって稼動した免疫システムを静める機能がブロックされることで、

そのまま免疫がハイギアを入れた車のようになってしまう。



研究では、発病から3年はこれが続くが、3年を過ぎると逆にこのサイトカインが低下し、免疫システムが疲弊した状態に陥るということだ。

時が経つにつれて段階的に変化していく病気の経過を理解することで、その段階にあわせた治療法をあみ出せるような試みが期待される。



今回の研究結果はこの病気が本当に実在する病気だと訴え続けても信じてもらえなかったCFS患者にとって大きな安堵を与える結果となった。

前述のリサさんは、ひどい時には簡単な算数もできなかったが、今では調子のいい日には10分から15分の読書をしては休み、5分起立するのに、10分から1時間の休憩が必要だということだ。

彼女は、今回のコロンビア大学の研究が将来の希望をもたらし、これが大きな転機になることを期待していると述べている。


(後書き)

2014年4月、日本の理化学研究所の論文にも、サイトカインは登場した。

患者の血液や髄液を健常者と比較検査したところ、炎症性サイトカインがわずかに上昇していることが報告されていて、脳内での炎症が脳機能の低下に関わっているのではないかと推測されていたが、

日本の研究で、「実際に脳内での炎症が増加しており、脳機能の低下の原因となっていることが示唆されました。」と結論づけている。

脳脊髄液中のサイトカインを調べた最新の論文は、こちらをクリック。